【概要】
実験室の一般的な流し台では車椅子等の座位では、正面からアクセスすることが難しい。そこでこの製品では、シンク下部のけこみ(クリアランス)を用意し、座位によるリーチの短さに対応して奥行の短いデザインを試作した。さらに人によりを使いやすい流し台の高さが異なること、立位の人も使用することから、電動昇降機能を取り付けた。プロトタイプによる試験により、新たに車椅子利用者がシンクに体重を預けて使うニーズを発見し、体重を預けても痛みのないよう、流し台の前部を滑らかに加工した。さらに、つかまり立ちのニーズを受け、つかまることができるようなシンクの前縁部の返しの構造を設けた。また同時に支援者が作業するというニーズを受け、2人で作業できるよう流し台の幅を広げた。この流し台は製品化を行ったヤマト科学株式会社より販売されている(LSSB-L189TZ)。
【推薦コメント】
アクセシブルな流し台を作製するため、デザイナー・理化学機器の専門家らに加え、設計のすべての段階で障害のある当事者が参加するインクルーシブデザインのアプローチを用いました。流し台の開発は、東京大学先端科学技術研究センターインクルーシブデザインラボラトリー、ヤマト科学株式会社、株式会社GK設計の3者による共同研究によって行われた。
推薦人:並木重宏