プログラム
・開催挨拶:隠岐さや香(東京大学大学院 教育学研究科・多様性包摂共創センター・教授)
・趣旨説明(10分):板津 木綿子(東京大学情報学環・学際情報学府・教授)
・話題提供(15分):
① 横山 広美(東京大学国際高等研究所・教授)
サステイナブルAI: AI倫理と環境倫理の交差点でDEI/RRIを考える
② 孫 輔卿(東京大学IncluDE研究部門・准教授)
AI時代の性差医学研究
・議論(30分):IncluDEで進めるべきAI時代のDEI研究
板津 木綿子、横山 広美、長井 志江(東京大学国際高等研究所・特任教授)、孫 輔卿、参加者
第2回 IncluDE研究ワークショップ報告 テーマ:AI時代のDEI研究
第2回ワークショップでは、AI技術の利便性のみならず、その危険性や潜在的課題を適切に理解したうえで、DEI研究においてAIをどのように活用すべきか(リスク・倫理面を含む)、またどのように活かし得るかについて議論を深めました。
冒頭、板津先生より、DEI理念の実現を支えるAI技術のメリットと懸念点について、研究と実務の両面から包括的なご説明がありました。AI導入の有効性に加え、偏り・差別の強化といった負の側面にも注意が必要である点が共有されました。
続いて横山先生からは、Green AIの概念を軸にAIの裏側にあるエネルギー消費や環境負荷の問題を取り上げて、AI倫理と環境倫理の接点、さらにGreen AIがDEIにどのように接続し得るかについて話題提供がありました。また孫からは、フレイルや健康状態における性差の視点を踏まえ、AI技術を活用した予防・医療の個別最適化に関する話題提供を行いました。
ディスカッションでは、長井先生より、発達障害・神経多様性の機序解明およびニューラルネットワークモデル開発に関する研究経験からコメントをいただきました。具体的には、AI技術の負の側面(差別・偏見の助長など)をいかに最小化しながら研究を推進するか、さらにAI開発に伴うエネルギー負荷やマイノリティへの影響を、開発側研究者へどのように伝え、組み込んでいくべきかなど、具体的な視点が示されました。
最後に板津先生より、登壇者に対し、AI技術の社会実装に求められる信頼性や制御の課題(個人情報保護、産業界における制度設計・整備など)について意見を求め、議論をさらに深めました。
今回のワークショップでは、合計26名が参加し、AI×DEI研究の最新動向やAI技術の可能性を共有するとともに、AI技術の限界や問題意識を踏まえたうえで、新たな方向性を探るうえで、多くの示唆を得られる機会となりました。
